今日は、奨学金という名の、ローンについての話です。
今は日本学生支援機構という名前ですが、その前は日本育英会という名前です。
平成16年度から大学院での奨学金を借りた人が、免除職に就いても、奨学金の返還が免除されるという制度はなくなりました。
免除職とはアカデミックでの職のことです。
例えば、大学院修了後に助教に採用され、奨学金の額に応じて10数年以上、大学に教員として勤めていると、奨学金の返済が免除されるという制度です。
大学院時代の同期が2人いるとして、A氏が大学に教員として採用され、B氏が民間企業に就職した場合に、A氏は規定の期間、大学に勤めれば、奨学金の返済はゼロですが、B氏は借りた奨学金を全て返済します。
これは、ポスドクがアカデミックの職を熱望するメリットの一つだと思います。
大学院で学位取得後に、数年間はポスドクとして働いていると、返済の猶予期間があり、その猶予期間内は奨学金の返済をする必要はありませんが、猶予期間を過ぎれば、奨学金の返済が始まります。猶予期間内に、アカデミックの職に就ければ、返済の必要がありません。
高齢ポスドクの問題に、この奨学金の返済もあると思います。アカデミックや民間企業に採用されないポスドクは、この奨学金の返済を安い給料から捻出する必要があります。
平成16年度以降に、大学院に入学した人達は、この免除制度の替わりに、大学院時代の成績や研究成果を申請することによって、奨学金の全額または半額が免除になるという新しい制度が始まりました。
その代わり、大学院修了後にポスドクをしても、返済の猶予期間はなくりましたが、年収が300万円以下の場合は、所得が低いという理由を申請して認められれば、猶予期間が出来るようです。
六人目の男は、平成16年度に大学院に入りましたので、アカデミックの職に就いても、メリットはありません。
40代以上で、テニュアの職に就いている人達は、六人目の男の世代からすると、恵まれていると思います。また、その世代以上は助手時代からテニュアで、現在の助教は任期がある職であることからも恵まれていると思います。
奨学金を返済しないといけないB氏ですが、大手企業に就職すれば、A氏よりも、生涯賃金は多くなりますので、経済的にはB氏の方が恵まれた生活になるのが、一般的だと思います。
アカデミックの職についても、それほど高い給料を貰える訳ではないので、アカデミックの職に就くことだけを考えて、ポスドクを長くやることのメリットがあるかということも考えていないと、ポスドク歴が10年以上という人の行く先がなくなるのは、どうなのかと考えてしまいますが、本人には問えないないですけど。
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